
卒業後、航空会社でグランドスタッフを経験して英語力や接客力を磨き、新たなチャレンジを求めて今の会社に就職しました。現在はエスビー食品の主力商品であるカレー粉、カレールウ、わさびなどの商品を海外に販売する海外事業部に所属しています。その中で海外法規チームとして、輸出に必要となる証明書や規格書の作成、それらに関連する問合せ対応を行っています。食品の規制は国によってさまざまで、基準を満たしていないと輸出ができません。輸出先の基準をクリアしている事実を示し、商品が海外に出ていく手助けをすることが私たちの仕事です。近年、食品に関する規制は複雑化が進んでおり、国によっては本当に厳しい基準を持っています。例えば、日本では摂取しても問題ないとされている農薬であっても、一切の含有が認められない場合があります。食品そのものだけでなく、包装資材にまで細かいルールを設定する国も出てきました。しかし、そうした規制の背景には環境保護という目的があったり、現地で大切にされている文化や国民性が関係していたりします。それらのルールを守りながら、日本から海外に商品が出ていく手伝いができていると思うと、責任ももちろん感じますが、それ以上のやりがいがあります。
もともと、大学では言語を学ぶだけではなく、多角的な目線で海外を知りたいと考えていました。実際に大学での授業やゼミナールでは、日本で暮らしてきた私にとっては当たり前のことが、世界では当たり前ではないということ、教育や音楽、人間関係までもが国の文化によってつくり上げられていることを学べました。それは食文化も同じです。業務で取り扱っている「わさび」にしても、日本のように魚のお刺身と一緒に食べる人もいれば、お肉と食べる人もいます。好まれている食べ方は国によってさまざまです。文化の違いによって多様な考え方?捉え方があるというこの視点は、大学時代から今まで、ずっと私の力になっています。
資格取得や社内検定へのチャレンジを通じて、カレーやスパイスなど自社製品に関する知識を磨いていきたいと考えています。当面の目標はスパイス&ハーブ検定2級の合格です。食品表示に関する資格にも興味があるので、どんどん挑戦してできることを広げていきたいです。
先生方との距離の近さが一番の魅力です。授業やゼミでの研究、そして就職活動でも、私がつまずきそうな時にはいつも近くで応援してくれました。卒業から10年が経つ今でも時々会いに行っては元気をもらうことがあるほど、大学は私にとってのパワースポットになっています。
当時所属していたゼミの先生は、実際に行った人しか知らないような海外の生活様式など、興味を引かれる話をたくさん聞かせてくれました。「旅行先でコンビニやスーパーに行くだけでも人々の生活や文化は学べる。積極的にいろんな場所に足を運んでみなさい」という言葉は今でも印象に残っており、私のマインドを形づくっています。
(2025年2月掲載)